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フェリセットは着地から3日後、またこの研究施設へ移されることになった。
フェリセットが戻って来る当日。俯いてばかりいる僕にしびれを切らしたように、ついに後輩は「もうちょっと嬉しそうにしてられないんですか」とイライラした口調で言った。
「フェリセットが帰ってくるんですよ。嬉しくないんですか。それとも、本当にそういう心を失くしちゃったんですか」
まっすぐな後輩の質問になんて答えたらいいのか分からなくて、僕はただ「ごめん」と謝ることしか出来なかった。後輩はまだ若いから。だからそうやって感情を露にすることも多分、成長の段階のひとつだから、いいと思う。
だけれども、僕は駄目だ。この職に就いて何年経ったと思ってるんだ。しっかりしろ。
僕の気の抜けた短い返答に後輩が小さく舌打ちを零した時、入り口から人の声がした。後輩はその声を耳にするや否や駆け出して行った。僕にはそんな真似は出来なかった。
だって、僕は――冷徹な、
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