第2章

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「宮本先生。外来に宮本先生を 呼ばれてる方がいらっしゃってます。」 「おぉ。ありがとう。今行く。」 晴れて医者になれた今、父の後を継ぐため この総合病院で働き、父が引退したら 院長を務めることが決まっている。 看護師に呼び掛けられた俺は 外来に向かうため足を進めた。 「うお!勝だ!久しぶりだな! 元気だったか?立派な医者だな。」 そこには思いがけない訪問者が居た。 「駿太…は?なんで。」 「いやー。全然連絡返してくれないからさ? 来ちゃったんだよねー。」 なんの悪びれもなく話す奴に フツフツと怒りが沸き起こる。 「そういうことじゃなくて! なんでここに居ること知ってるんだよ! そもそもなんで俺の番号やアドレス 知ってるんだよ!お前いきなりなんだよ!」 「うお!ビックリした! ちょっと落ち着けよ。 俺が言うのもなんだがここ病院だぞ? ほら。俺元、街のチーマーだろ? そんなもん調べたらすぐに分かるって。 それに連絡返してくれないのが いけないんだろ?」 「信じられねー。なんだよそれ。 お前なんか知るかっつーの。 しかも勝手に人のこと調べ上げるな! プライバシーもくそもないだろ? 俺は今勤務中だから帰ってくれ。」 「わーったよ。でもこれだけは言わせて? 中学の時はごめんな? 今更って思うかも知れないけど… 俺それがずっと心残りで。 あん時の俺はガキだった。 ただ、許してもらえなくても謝りたくて。 だから調べてもらったんだ。 本当にごめん!」 そう言ってガバっと頭を下げて 腰を折るその姿に なんだかどーでもよくなって 駿太の肩に手をかけた。 「よしてくれ。もういいから。 確かにされたことはムカつくが そうやって謝ってくれるなら別にいい。 だから頭を上げてくれ。」 「本当にごめんなさい。 じゃあ俺帰るわ。仕事の邪魔して悪かった。」 頭を上げて微笑んでくれる駿太を見て 何故だか胸がドキッと鳴った。
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