第3章

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今日も俺は携帯とにらめっこ。 自分の担当する救急内科のデスクの椅子に 腰を掛けながらにらめっこ。 突然訪問してきた学生時代に 俺を散々いじめ抜いたその主犯。 駿太が俺の元にやってきたのは 今から二週間前の話だ。 あんなに二週間前までは うるさく鳴っていたバイブ音が、 会いに来た翌日からぴたりと鳴り止んだ。 あれは一体なんだったろうか? もしや…これはまた俺をからかうための 行動だったのだろうか。 一ヶ月間俺の携帯を鳴らしてきた駿太は 突然会いに来ては言いたいことだけを言って 忽然と俺の前から居なくなり、 比例するように携帯も鳴らなくなった。 今もこうして睨みつけてるのに 俺の携帯はピクリとも動かない。 やっぱり俺をからかう為の行動なのか? 「はぁー。」と盛大な溜息を吐き出したら タイミングを見計らったように ブルブルと震えだした俺の携帯。 速攻で携帯を握りしめて タップすると新着メールのお知らせ。 俺は震える指先でタップしていくと 受信者の名前に駿太の文字が。 柄にもなく「よっしゃー!」って ガッツポーズをしてから内容を確認する。 「勝。久しぶり。元気か(^-^)? 医者は忙しいと思うけど 今度一緒に飲みに行こうぜ(^-^) いつでもいいから連絡を返してくれ!」 俺は再び「やったー!」って叫んだら 通りすがりの看護師に 「宮本先生。病院ではお静かに! それからもうすぐ午前の診察始まりますよ?」 と怒られてしまった。 そこではたと気づき始める。 てゆーかなんで俺こんなに駿太のことを 一日中考えてるんだ? なんで駿太から来なくなった連絡に 俺は寂しい気持ちを抱えてたんだ? なんで駿太から連絡きただけで 俺は喜んでしまってるのか? よく分かんない自分の感情に モヤモヤと悩みつつも急いで駿太に 返信をした。 「久しぶり。 別に構わないぜ? 今度お前と俺の休みが被ったら行くか。」 あんだけ待ち望んでいた連絡に なんの可愛げもなく返信してしまった俺は、 自分で自分を罵りながら あ…返信は早くしたらダメって なんかの歌にあったよなー。 なんて思いつつも考えるより先に、 行動を起こしてしまったから仕方ないと 携帯をしまい込んで問診票を寄せ集めた。
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