第1章

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「おー!うまそー!いただきます。」 「あぁ。どうぞ?」 目の前に並べた卵焼き、味噌汁、鮭を 一つ一つ口に入れては柔らかい笑みを浮かべ 美味しそうに食べていく。 言葉には出さないもの その顔を見れるだけでいいとしよう。 「なぁ。そういえばさ。」 「ん?なに?」 「なんでそんなにしゅんは優しいの?」 ただこの質問が聞きたかったのだろう。 本当に不思議そうに俺を見つめてくるが 俺の方こそこの質問の意図が分からない。 しかも唐突過ぎるだろ。その質問。 「優しい?なにが?」 「だーかーらー!俺思うの。 しゅんって俺に優し過ぎね?至れ尽くされ。 すーぐ謝ってくるし。 その…なんだ…やった後とかも すっげぇ気い使ってくれるじゃんか。 腰大丈夫?とか。綺麗にしてくれたりさ。 んで腹減ったら飯作ってくれるし。 だからなんでしゅんは そんなにやっさしいの?」 あーなるほど。 いきなりの達哉質問の意味が やっと分かった。 それなら達哉ために教えてあげるまでだ。 「別に俺優しくなんかないよ? 誰にでもこんな至れ尽くしてないよ? それは達哉だから。達哉が俺の女だから。 まぁ女っていうのは語弊かもしれんが… いい?俺はお前が大事だから。 大事で大切にしたいから。 だから俺は達哉の体調とか気になるし お腹が空いたなら俺の手料理食べて 笑顔になる達哉が見たいから。 それだけの理由だけど何か不満でもある?」 俺の言葉がストレート過ぎたのかな。 顔を真っ赤にしてウル目で俺を睨んで… てかそれ見上げてきてるだけで そんなうる目で見ても怖くないっつーの。 「もういい!しゅんバカ! おめぇはさっさと仕事でも行け!」 そう言って食べ終わった食器を持って キッチンへと逃げ込んだ。
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