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「いらっしゃいませー。
空いてるお席へどうぞ？」
居酒屋に着いて店員に案内され、
まだ開店時ということでそれほど混んでなく
俺らは適当な席に腰を下ろした。
適当に酒とツマミを注文して、
運ばれてきたところで乾杯をして、
橋を各々進めていく。
「そういえば駿太は何の仕事してるの？」
「あ。そうか。言ってなかったな。
料理人だよ？イタリア料理の。」
「え？フライパン振ったりするのか？」
「確かに振るけどさ…それってどっちか
っていうと中華じゃね？」
「あ。そっか！パスタとか
ピサとかそっちの方か。」
「もしかして料理出来ないのか？」
「うん。全く。」
「まじかよ。じゃあ普段どうしてんの？」
「ほぼコンビニだな。
休みの日はたまに外に出るけど。」
「うわ。それ体に悪いぞ。
ちゃんと栄養あるもの食わなきゃ。」
「まぁな。」
「いつか俺の店に食いに来いよ。」
「え？自分で店持ってるのか？」
「あ…違う違う。
勝には辛い過去を思い出させてしまうかもだけど…ほら透って居ただろ？
そいつが店持ってて俺は従業員。
あ。透も素直になれないだけで
謝りたい気持ちはあるからさ？
無理にとは言わないけどこれたら来いよな？」
「あー居たな。そういえば。
まぁ駿太が居るなら行く。」
そう言って顔を俯かせて、
顔を赤くする勝に
頭の中にハテナを浮かべながら、
また取り止めのない会話を再開する。
「医者って大変そうだけど
モテそうだよな。」
「は？モテる？」
「だって高収入だろ？
女がほかっとかないんじゃないか？
それに勝は顔整ってるし。」
「別に…モテねーよ。」
「え？彼女の一人や二人は居るだろ？」
「居ねーよ。そんなもん。」
「あ。今のは言い方が悪かったな。
ごめん。彼女居るだろ？」
「別に。居ねーよ。」
「は？居ないの？勿体無いな。」
「じゃあそういうお前はどうなんだ？」
唐揚げをヒョイっと口に運んで
リスみたいに口いっぱいに詰め込んで
モグモグ食べる勝が、
学生の頃はこんな一面知ることも
なかったよなー。なんて思いつつも
聞かれた質問に答える。
「俺？居るぞ。スッゲェ可愛い彼女。
もう可愛い過ぎて閉じ込めておきたいぐらい
可愛い奴で男にも女にも指一本
触れさせたくないよな。うん。」
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