第4章

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「じゃあ…そのさ…駿太は女には 靡かないわけ?」 「女っていうより達哉以外には 靡かないわけ。」 「ワンナイトとかも?」 「なんだよお前。俺と達哉を 別れさせたいわけ?」 「いやいや。そういうわけじゃないけど。 あまりにもストレート過ぎるっていうか 真っ直ぐ過ぎるからさ? ほら。ワンナイトだけの関係で 元々は女と付き合ってたりしてたんだろ? だからないのかなーって。」 「うーん…」なんて唸りながら 枝豆をヒョイヒョイ口に運んで、 眉間に皺を寄せて考えてる駿太を横目に なんで俺も俺でこんなことを駿太に 聞いているんだろうなーって思いながら 駿太が発する言葉を待つ。 「それだったらいくら一回限りでも 後々面倒くさいことにはなりかねないじゃん? たかがその一回でもバレたら浮気に なるわけだし?」 「まぁ…そうだよな…」 「それだったら俺は金を挟むね。」 「は?金?」 「俺は達哉しか抱きたくねぇよ? だけどさ?相手側がどうしてもっつーなら そいつに金貰って抱いた方が後腐れなくない? 金を挟んで抱くってさ?ただ虚しさが 残るだけじゃん?相手側の気持ちが。 それだったらワンナイトヤッたとして やっぱりこれからも抱いて!とか 言われるよりは金挟んだほうがさ そんな未練じみた事はなくなるだろ?」 さっきまでの唸って顔を歪めていた時とは 打って変わってスッキリした顔で 答えてくる駿太の考えに言いたいことは 少なからず納得出来る部分がある。 でもそれと同時に達哉という恋人にしか 本当に興味がない素振りを見せる駿太に、 名前しか知らない達哉という男に 俺は言いようの無い嫉妬を覚える。 は?嫉妬?誰が誰に?は? 俺が男に。達哉にか?は?何故だ… 何故見たこともない話したこともない 男に俺は嫉妬を覚えるんだろうか… 駿太の連絡を待つ俺。 駿太の笑顔にドキっと高鳴る胸。 そして会ったこともない達哉に 嫉妬をする俺…あ。やっとわかった。 なるほどなー。やっとわかったよ。 俺は欲求不満だからとかそういうので ドキドキしていたんじゃなかった。 あー…俺は恋をしてしまったんだ。 この男に。散々学生の頃いじめられてた 駿太という男に。 その答えに辿り着いた途端急に胸が ドキドキしだして心がスーって 軽くなっていく感覚を覚える。 「じゃあさ?俺のこと一晩五万で抱ける?」 気づけばそう口を開けていた。
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