第4章

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「は?何言ってんの?お前。」 動揺が悟られないように 枝豆の殻をプチプチと弄っていく。 「だから…金挟めば抱いてくれるんだろ? 一晩五万でどう?足りない?」 「は?いや…足りないとかじゃなくて なに?お前もゲイなわけ?」 「ちげーって…」 氷と溶け合って薄くほぼ水のような レモンハイが入っているグラスをクイっと 傾けてる勝を呆然とした目で見る。 「じゃあ…なんだよ?」 「ゲイではないが…どうやら俺はお前に 惚れたみたいだ。ってさっき気付いた。 それこそ駿太が達哉っつー男を 想うようなそんな感情だな。」 「は?」 「でもお前は達哉以外に興味が ないんだろ?」 「あぁ。そうだが?」 「だったら俺はお前のセフレでいいから。 だから一晩五万で抱いてくれよな?」 俺がジト目で怪訝そうに睨んでるっつーのに 勝は満更でも無さげな顔をしながら 熱い熱のこもった視線を俺に向けてくる。 そうしたらいきなりチュっと触れるだけの キスをしてきて 「なぁ…ダメか?俺だったらお前に どんなことされてもいいぞ?」 なんて妖艶に微笑むときたもんだ。 軽く触れただけなのにぷくっと膨らむ 唇の感触が忘れられない。 その綺麗に開かれてるまんまるの目を 快楽の涙でウルませたい。 達哉とは違って白くてしっかりと 筋肉が付けられてる肌を紅く染めてやりたい。 「別に俺お前を優しく抱くつもりなんて ねぇけど?それでもいいか?」 「あぁ。構わねーよ。」 気づけば俺は勝が醸し出す色香に堕ちて そんな言葉を口にしていた。 優しく抱かないなんて言った俺を それでも構わないなんていう勝は なんて健気で儚いんだろうか。 達哉には悪い気もするが、 今はこいつを犯したい 願望で頭がいっぱいになり フツフツと俺のサドイズムが働き出す。 「じゃあホテルでも行くか?」 「別にお前さえよければホテルでも なんなら俺ん家でもいいけど?」 「じゃあ勝の家にするか。」 残った酒を飲み干して居酒屋を後にし、 タクシーに乗り込んで勝の家へと 向かい出す車内の中で俺は ボーっと過ぎ行く街並みを窓から眺めていた。 「なに?今更恋人に罪悪感?」 「いや。その逆だ。どうやってお前を 喘がせようか考えているんだよ。」 「ふふ。そっか。」 照れたように笑う勝は綺麗だと思った。
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