第4章

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俺の家に着いて、 自分で誘っておきながら 普通はおかしなことだよな。 男が男を。しかも金で買うなんて。 なんて頭の中で霞めるように冷静に 思う部分があるものの、 この駿太がどのように俺を抱くかも気になる。 玄関の鍵を解除して駿太を先に促すと そのまま俺の腕を強引に引っ張っていき 玄関の壁にドンと身体を打ち付けられた。 衝撃に顔を歪めると駿太の整った顔が 俺に段々と近づいてきて、 唇が合わさったと同時に駿太の舌が 俺の口内に浸入してきた。 絡め合わせようとする俺の舌を 駿太は逃げるように逃れていき、 歯列や上顎を舐め上げてきて 焦ったい感情に身を委ねる。 そろそろかな?と思った時には 何故か駿太の口は離れていった。 「はぁ…なんで?」 「なんでって何が?」 「なんでお前はキスしてくんないの?」 「は?してやっただろ。」 「ちげーよ!逃げてただろ?」 「んー?そっかな?じゃあさ… 自分でしてこれば?」 「は?何言ってんだよ!?」 「だって俺からのキスは 物足りなかったんだろ? だったら自分でしてみろよ。」 頭の横に駿太の両腕があって、 壁を押し付ける駿太の顔を見つめると なんとも美しくも怪しく笑う顔が そこにはあって、 俺はその顔を見て 欲情している自分にも気付く。 駿太の首に腕を回して近づけると 自ら唇を重ねていく。 吸い付くように。触れるだけのキス。 それを何度か繰り返していくと 焦ったそうに開いた駿太の口の中に 自分の舌を滑り込ませて絡めとる。 やっと駿太の舌の感触を味わえて、 柔らかく溶けるような駿太の舌に 無我夢中で絡め合わせると駿太の腕が 俺の背中に回ってきて、 主導権は駿太の元へと戻り、 クチュクチュとイヤラシイ卑猥な水音を 俺の玄関へと響き渡らせる。 しばらくして離された唇を俺は名残惜しそうな 顔で見つめていたら 不敵に笑った駿太の顔。 「なに?まだ足りないみたいな顔して。 そんなに気持ち良かった?」 「うるせー//」 「なんだ。素直じゃないな。 でも顔がそう言ってるぜ?」 「なんだよ!分かってるならなんで!?」 「だってお前処女だろ? さすがに処女を床で抱くのはいくらなんでも 可哀想だからよ?早く欲しけりゃ 寝室に連れていきなよ?な?」 優しく抱くつもりなんてないって言ったくせに その言葉は俺の身体を気遣う優しさで 額にキスを一つ落としてくれた。
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