第1章

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「達哉は今日何すんの?」 達哉の後を追ってキッチンへ行き 後ろからギュっと抱きしめる。 「んー…悠二とこ。」 「好きだねー。」 「だって!それ以外することねぇもん! 買い物とか釣りとか行きたいけど それはしゅんが一緒の時じゃないと 行ったらダメなんだろ? 1人で外出出来るのは悠二の 喫茶店だけしかねぇもん! 俺だって働きてぇし。 な。しゅんダメか?」 「ダメだね。ダメ。」 「なんでダメなんだよ! 悠二とこしか 1人で行けねぇんだよ!」 クルッと向き直ってきて 俺の腕をガシっと掴みわぁわぁ喚いてくる。 仕方ねぇな。なんて思いながら とりあえず達哉の手を取って 達哉の視線に合うように屈み込む。 「いい?長くなるけど聞いて。」 「え?長くなんの?」 「うん。まず達哉は無自覚過ぎる。 達哉はね?可愛すぎんの。全てが。 そんなんで自由に外歩いてみて。 これみよがしに色んな男や女が 達哉のところに沸いてくるぞ?」 「アホじゃねぇの? 別にしゅんと出会うまでは 普通に街歩いてたもん。 へーきだったもん。 それに男がくるわけねーだろ。」 「さて。それはどうでしょう。 とにかく俺は達哉のことを守りたい。 危険が及ぶ前に救いたい。 それから…悠二喫茶店は 店長が悠二で従業員が珖だけの二人。 それにあの二人は付き合ってる。 そして互いにゾッコンだから 達哉に手出さないと思うから 許可してんの。分かった?」 「え?悠二と珖って そういうことだったの!? 俺知らんかった! しっかしよー。 俺だって普通に生活したいよ。」 「休みの日は行きたいとこ 連れて行ってるでしょ。 それに生活費は俺が稼いでる。 それじゃあ不服なわけ?」 「んー…もういい! いつもいつももういい! とりあえずお前仕事行けよ!」 「あ!本当だ。とりあえず行ってきます。」 まだまだ何かいいたそうな達哉に 軽く口付けて俺は急いで家を後にした。
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