第5章

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「うっわ!駿太くん気持ち悪! 顔濃いくせにニヤニヤしないで!怖い!」 「おい!なんだよそれ! 人がせっかく幸せ気分になってるのに お前って奴は…殴るぞ?」 「あ~ダメダメ!駿太くん殴っちゃめ! もし駿太くんが珖殴ったら 俺は駿太くん殴るからね?」 「冗談を本気で返す悠二さんは愛しいよ。 珖は達哉さん連れ戻してきて?」 「大丈夫。殴らないから。ごめんな?」 「絶対だよ!殴ったらダメだからね! じゃあ俺たっちゃん連れてくるね!」 悠二さんを達哉さんの所に追いやると 駿太くんが真剣に俺を見てくる。 俺は覚悟を決めて口を開いた。 「達哉さんのお陰でお客の数が 増えました。この通り。」 「は?それってつまり?」 「一言で言えば達哉さん狙いの お客さんですかね?」 「お前な…あれだけちゃんと見てろ! って言っただろうが!あ?」 「ちょっと落ち着いてください。 言っておきますけどちゃんと見てましたよ?」 「じゃあなんで増えてるんだよ?」 「だからそれはね?手は出されないように ちゃんと俺は見てたよ?でもさ? 好きか嫌いかの人の気持ちまでは 止めることなんて出来ないでしょーが。」 「それは…そうだけど…」 「ね?だからここらで一つ彼氏に登場 してもらって、 達哉さんに恋人が居て しかもそれが男だと分かれば少なからず 人は減るかなーって思いまして。」 「ふーん…なるほど。」 「珖!駿太くんお待たせ! たっちゃん駿太くんの為にパスタ 作ってたんだって!あひゃひゃ!」 未だに顔は渋いものの殴られなくて 良かったと安堵の息を吐いた途端に、 悠二さんの声が掛かって、 連れられるように やってくる達哉さんを見る駿太くんの目は 優しさに憂いを帯びていた。 「達哉が作ったって本当か?」 「うん。しゅんの作るパスタには 負けると思うけど…その…俺なりに 一生懸命作ったから食べて…?」 あーぁ。イケメンは顔面崩壊しちゃってるし、 達哉さんは恥ずかしそうにモジモジと しながら言うもんだから一気に注目の的だし、 もう他所でやってくれよと思うぐらい 二人の周りにはハートが飛び散り それを見てる悠二さんが照れ臭そうに ニヤニヤしているのを見てる俺。 なんだか遊楽はカップル喫茶なのか というぐらい熱い空気が流れていた。
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