第6章

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達哉を置いて行くのは気が引けるが、 とてもじゃないが連れて行けるほど 体調は優れておらず仕方なく、 冷えピタを貼ってやり、 枕元に携帯、スポーツドリンク、 念の為に洗面器も置いて 俺は急ぎ足で勝の病院へと向かった。 外来内科で順番を待っていると 思ったより早く呼ばれて診察室へと進む。 「よぉ!勝!久しぶりだな。」 「見るからに元気そうだが?どうした?」 「実は達哉が熱出してしまってよ… 寝てる間に喉の中見たら赤く腫れてたから 風邪だと思うんだよな。」 「で?その患者は?」 「家で寝てる。」 「は?」 怪訝そうに顔を歪める勝に 今の達哉の状態を俺の知る限りで報告して、 とてもじゃないが連れて行ける気力もない ことを伝えて、 薬だけをもらえるように頼み込む。 渋い顔をしながらも 症状をメモしながら話を聞いてくれる。 「大体のことは分かったけど… それは風邪だと思うけど… でも薬はその患者を見て合うやつを 本人に処方するのが当たり前なんだが?」 「それは分かってるけど… なぁ!頼む!この通り!」 「仕方ないな…今回だけだぞ?」 「ありがとう。埋め合わせは 達哉の風邪が治ったらしてやるから。」 「ふーん。まぁいいや。 これを持って隣の薬局行けば薬貰えるから。」 もう一度勝に礼を言って、 薬を受け取りそのまま薬局で ゼリーやスポーツ飲料、冷えピタなどを 新しく購入して家路へと急いだ。 帰ってきて達哉の様子を確認したら 息を荒くして寝苦しそうに顔を歪めてる。 俺は落ち着くまでベッドの淵に腰掛け、 頭を優しく撫でてやると次第に 達哉の表情も柔らかくなり、 再び眠りに落ちたのを確認してから お粥を作る為キッチンに立った。 「達哉起きれるか? お粥出来たし薬もらってこれたし 一回起きようぜ?」 優しく声掛けながら何度か体を揺すると トロンとした目を開いて微笑んでくれた。 達哉の背中に回り凭れ掛かせてやりながら お粥を小さく開かれた口へと運んでやる。 「おーし…」 「本当?無理しなくていいからな。 食べれる分だけ食べたら薬飲んで早く治せ。」 「んふふ。しゅ…ありがとう。」 食べ終わって薬を飲ませ水分を取らせ、 再びベッドに潜り込んだ達哉の頭を 撫でながら早く治れと願いを込める。 達哉はやっぱり笑ってくれた方が 俺の元気も出るしな。 早く治ってまた笑ってくれよな。
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