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第8章
ボーッとする頭でとりあえず考えてみる。
えーっと…頭をあげると気持ち良さそうに
眠ってるしゅんの顔があって、
その人の腕はがっしりと俺の体を挟んでて、
身動き一つ出来なくて正直苦しい。
俺っていつ寝たっけな?
足を動かすと腰に鈍い痛みが伝わってくる。
なんで俺はこんなに腰が痛いんだ?
あ。なんか思い出してきたぞ。
昨日しゅんが帰ってから抱いてもらって、
それで満足出来なかった俺はもう一回って
ねだったら思いの外しゅんの熱を
上げてしまったようで、
思いっきり抱かれたんだった。
なんか人を殺めたあとって
なんつーかしゅんの温もりが欲しくなる。
俺はここだよ。しゅんは俺のだよ。
って身体で示して欲しくなる。
喪失感や脱力感、無力感など
言いようのない不快感ばかりが
後悔するようにすげえ心を襲ってくるから
それをしゅんの温もりで示して欲しくなる。
「ふぅ~…しゅん?」
「ん…なんか達哉の声が聞こえる~」
「聞こえる~じゃなくて
俺が喋ってんの。起きろ~!」
「ん?へ!?達哉起きてんの?
どうしたの?珍しい!」
「珍しいって失礼な!
俺だってしゅんより先に起きれるもん!
そんなことより腹減った~。」
「よし!分かった!作ってくる!
ちょっと待っとけよ?」
ご丁寧に額におはようのキスされて、
くすぐったそうに額をこすって
気怠い体を起こそうとするが…
「いって!なぁしゅん?
腰が痛くて動けねーよ。
風呂場連れてって?シャワー浴びてぇの!」
ふふ。って笑いながら俺の声を聞きつけ
キッチンから再び寝室に戻ってくると
俺をお姫様抱っこで抱えてくれて、
洗面所に着いて甲斐甲斐しく
服を脱がしてくれて、
俺は無事にバスルームに行くことが出来た。
とりあえず熱いお湯を浴びて
昨日の情事の残りや病んだ心を
綺麗に流すように洗っていく。
いつもしゅんには迷惑ばっかかけて
俺が取り乱しても笑ってくれてて、
何かあったと聞きたいだろうに
俺が自分から言うのを待ってくれてる。
そんな優しく見守ってくれるしゅんの
気持ちは分かるのに俺は黙ったままだ。
なんだか俺はちっぽけでずりぃ奴だな。
とポタポタ落ちる雫を見ながら
また負の気持ちに心が蝕れていく。
「達哉ー?起きてる?ご飯出来たぞ!」
また負に落ちようとしていたところに
長風呂し過ぎて心配したのか
ドアの向こう側からしゅんの声が聞こえる。
俺はそれに対し「はーい。」と返事をし
キュッとシャワーのお湯を切った。
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