第8章

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何が偉いんだか分からないけど 褒めて!褒めて!って顔をして 見つめてくるから フワフワな髪の毛に手を突っ込んでやり、 わしゃわしゃとしてやると 気持ちよさそうに目を細めて見てくるから、 頬にチュっとキスしてやると やっと満足したのか俺の体を離して 「んじゃあデート致しますか?」 「んふふ。準備してからな。」 「楽しそうだね?」 「楽しいよ?しゅんとのデート楽しみ!」 「もう可愛すぎると襲っちまうぞ!?」 「え?無理~釣り行くから~」 「ちぇっ。わかったよ?じゃあ行くぞ?」 それぞれ準備して支度が終わって しゅんと手を繋いで外を歩く。 「さみぃ~な。」 「確かにすっかり寒くなったな。」 「てかこーよーって10月じゃねぇの?」 「そう。だけどどうしてもって 悠二が言うから枯れてるぞって 言ったのに行くんだと。」 「結局珖は悠二ちゃんに甘いから。」 「あそこお似合いだよな? まぁ俺らもだけどな?」 「うっわ!余計さみぃ!背筋凍る!」 「なんだと~?じゃあこうしてやる!」 ポケットに繋がれた手を入れられ、 嬉しそうな笑顔を向けるしゅんに 俺は微笑み返しながら、 なんでもない道のりもしゅんと二人だと 楽しくて他愛のない話をしながら、 駐車場に着いたところで車に乗り込み しゅんの運転で漁港へと向かった。 「おお!達哉久しぶりだな!」 「はっしー元気してた~?」 「元気元気ー!この通り! お!そっちのイケメンは友達か?」 「そ。しゅん。」 「初めまして?福永駿太です。」 「おぉ!俺は橋本って言うんだ。 この船の船長で達哉からははっしーって 呼ばれてるけど適当に呼んでくれ。 今の時期はな?ブリやマグロが旬だな。 まぁ頑張って釣っていこうぜ?」 はっしーの人懐っこさにある兄貴肌に 戸惑っているのか鼻をポリポリと掻いて 「あ…はい…よろしくお願い…します?」 なんて歯切れの悪い答え方をするしゅんが なんだか新鮮で声を出して笑うと、 ギロっと睨まれてしまった。 はっしーの船に乗り込んで 寒い寒いなんて言って抱きついてくる しゅんを手で押しのけながら、 釣り場スポットに辿り着くまで 適当にしゅんの相手をしてやり、 船が止まった事を合図に釣り糸を垂らして こっからは我慢勝負。 俺はこの時間が好き。 ボーっと海を眺めながら波の音を聞くと 心が洗われるようなそんな感覚。 それに無駄な事を考えなくてもいいんだ。
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