第1章

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「で?達哉さんは何が不服なの?」 「んー。俺だってしゅんの役に立ちたい。 確かに日用品とかは無くなる前に しゅんが買ってきてくれるし、 休みの時は服屋とかにも買い物に 連れてってくれるから別に外に出れないのが 何か不満があるわけじゃねーけど。 あれだ。お金も住処もご飯も。 全部全部しゅんやってくれるから 俺だってしゅんの役に立ちたい。」 一気に言葉を繋いで疲れたのか。 はたまたホットココアが丁度いい温度に 冷めてきたのか。 ホットココアに口つけてゴクゴクと 喉を鳴らして飲んでいく。 「じゃあさ?ウチで働く? 幸い駿太くんはここに来るのは 許可してくれてるわけでしょ?」 「あ。悠二さんにしては珍しく 良いことを言ったじゃないですか。 達哉さん働けば?」 「え!いいのか?」 「たっちゃんなら大歓迎だよ!」 「まぁ2日にいっぺんぐらい ここに来ては開店から閉店まで 居続けられるよりはマシかなと。」 「悠二ちゃん!珖ありがと! これしゅんに聞いたら断られるかも しれねーから内緒で働かせて?」 そう言ってガバっと立ち上がって 俺と悠二さんの手を掴んで ブンブン振ってきて見つめてくる様は 無自覚にクラっと眩暈を覚えた。 「あーぁ。駿太君が達哉さんを 囲う気持ちが嫌というほど分かるわ。」 「えー!珖ちゃんたっちゃんに 惚れちゃったの…?えー!」 「あんたはうっさい。」 「へ?よくわかんねーけど これからよろしくな?」 ふにゃんと笑う達哉さんは やっぱり無自覚ど天然だ。 きっと駿太君はこういうことが分かってて 自分の城に取り囲むんだよなー。 「ねぇ!珖ちゃん! 珖ちゃんはたっちゃんの事が 好きになっちゃったの? 俺…捨てられちゃうの…?」 「アホか。ほら。仕事しなさいよ。」 ショボーンと落ち込んで今にも泣きそうな 悠二さんに達哉さんの前だが 黙らせるためには…と思って 触れるだけのキスを落とした。
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