第9章

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怪しく笑いかければ「うん!大好き~!」 なんて言ってギューって抱き締められる。 俺はそれに笑って答えれば 「ごめん!お待たせ!」 「ごめんね~待たせちゃったね?」 と2人が謝りながらこちらにやってきた。 「もう!二人とも遅いよ! 珖が凍え死んじゃうでしょ?」 「え?俺凍え死ぬの?」 「ほら見て!真っ白な手が真っ赤に!」 真剣な顔をして2人に訴える悠二さんに 愛おしさが増して微笑むと、 駿太くんと達也さんと目が合って、 三人で笑いあったのをキョロキョロと 見回して頭の上にハテナマークを いっぱいつけてる悠二さんにまた笑いが起こった。 「とりあえず紅葉探しに行きますか?」 「そだね!とりあえず探しに行こうか!」 「しっかしさみぃな。達也手!」 「俺の手無くなったから構わないで~」 「え?達也さん手なくなったの?」 「ひゃ~!たっちゃんすごいね!」 「ちょっとそこ乗らないで! さっきから達也が指一本触れさせて くれないんだってば!何でだ?」 「もうしゅんうるさーい!」 「ねぇ!紅葉どこー?いちょーは?」 「ほら。早く手!凍えて死んじまうぞ?」 「あいにく俺は珖じゃないから そんなヤワくないので気になさらず~」 「なに?そこ喧嘩してんの? あ!悠二さんあれは?」 「ダメ!いっぱいついてるのがいいの! たっちゃん、駿太くんに意地悪されたの?」 「え?俺なんかした!?」 「もういいの~しゅんは一人で歩いて~ 俺は珖の隣行くから~」 「んふふ。こっちいらっしゃいな?」 「じゃあ珖の右側は俺だから たっちゃん左側いいよ~!」 「っておい!二人とも乗るなよな! なんでだよ!なんで俺一人なんだよ!」 笑い合って寒い公園内を歩き回って、 紅葉が綺麗になってる木を探し求めて、 くだらない話をする四人の空間。 「あ。悠二さん…あれ見て?」 「うっわぁ!すっごーい!」 「うわぁ~綺麗だな~」 「うおっ!これは凄い!」 見つめた先には大きな紅葉の木が一本。 その横にふた回り小さい紅葉の木が 両隣に二本ずつ寄り添うように生えていて、 まさかこの紅葉シーズンを終えた今に 綺麗な紅葉の木が5本生えてるなんて、 思わなくてただ目を奪われる。 それは俺だけではなくて他の三人も 一緒のようでただ茫然と見つめる。
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