第1話 ハリの落ちた頬を

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第1話 ハリの落ちた頬を

『シンプルな生活を心掛けています』 そう書かれた記事の中で、あの女が笑っていた。 休前日の仕事を終え、何とか踏ん張り立つ電車の中で、たまたま開いたウェブページ。 そこに私――中野(なかの)カナコは釘付けになった。 インフルエンサーの憧れの私生活。 そう銘打たれた雑誌か何かの記事。 興味があったわけでもない。 ただ何となく手持ち無沙汰でポチリとタップしただけ――そして今、猛烈に後悔している。
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