0人が本棚に入れています
本棚に追加
愛しき者は去った
わたしの目の前にいる、ころちゃん。
ここのところ、ほとんどうつむきっぱなし。
「ころちゃん、春華お姉ちゃんがいなくなってから、ずっとこの調子なのよね……」
「ころってば、姉さんのことが大好きだったからね」
春華お姉ちゃんは、ころちゃんをえらい可愛がっていた。
ころちゃんも、それに応えるかのように慕っていた。
春華お姉ちゃんと、ころちゃんは、相思相愛。
いつも一緒にいた。
けれども、それがいつまでも続くというわけではなかった。
春華お姉ちゃんが歳季さんと結婚することになったのだ。
「春華お姉ちゃんが引っ越した時は、ころちゃん、えらい騒いでいたよね」
「そうね、秋穂」
最初のコメントを投稿しよう!