愛しき者は去った

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愛しき者は去った

 わたしの目の前にいる、ころちゃん。  ここのところ、ほとんどうつむきっぱなし。 「ころちゃん、春華お姉ちゃんがいなくなってから、ずっとこの調子なのよね……」 「ころってば、姉さんのことが大好きだったからね」  春華お姉ちゃんは、ころちゃんをえらい可愛がっていた。  ころちゃんも、それに応えるかのように慕っていた。  春華お姉ちゃんと、ころちゃんは、相思相愛。  いつも一緒にいた。  けれども、それがいつまでも続くというわけではなかった。  春華お姉ちゃんが歳季さんと結婚することになったのだ。 「春華お姉ちゃんが引っ越した時は、ころちゃん、えらい騒いでいたよね」 「そうね、秋穂(あきほ)
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