愛しき者は去った

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 春華お姉ちゃんが高校生の時、友達から譲り受けたという、ころちゃん。  当時、ころちゃんは生後二ヶ月足らずの子犬で、ぬいぐるみのように可愛かった。  春華お姉ちゃんに抱っこされているのを見て、わたしもうっとりとしていた。  そんなころちゃんも今では大人。いや、成犬と言った方が正しいか。  人間に例えると、すでに中年以上のおじさんだ。  けれども、今でも可愛いことに変わりはない。  もふもふした赤茶色の毛並み、純朴そうな顔立ち。  そんなころちゃんが寂しそうにしているのを見ると、こちらも胸が締め付けられるような気分になる。  わたしは、ころちゃんの正面に回る。そして、しゃがむ。 「ねえ、ころちゃん、元気を出して。春華お姉ちゃんがいなくなっても、わたしや夏貴お姉ちゃん、それと、冬美(ふゆみ)ちゃんがいるから」  ころちゃんの頭をなでながら、そう言った。
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