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エピローグ
警察へ届けられた隠しカメラの映像。そこには、舞台裏で小道具箱を前に佇む花澄の姿があった。
道具の整理を任されることが多かった彼女にとって、ただその場に映っているというだけでは特に不審な点はない。
しかし――
彼女は小道具箱の中から布に包まれたナイフを無造作に取り出した。続いて自身の懐から慎重に取り出した物。それは――
花澄の手元で二丁のナイフが怪しげな光を放つ。
そう、ナイフを本物にすり替えたのは、他ならぬ花澄自身だったのだ。そして真里絵のジュースに予め毒を仕込んでいたのも――
舞台裏の彼女は、カメラの視線を感じたのか暫く辺りを見回している風であったが、ついに気付くことはなかったようだ。
本番のステージ上、白熱した演技の末に康治に抱きかかえられた花澄は、薄れゆく意識の中で ほくそ笑んでいた。
――ああ、これで私は永遠に……康治の心の中に棲みつくことが出来る――
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