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声の主は杏子だった。
振り向いた統一郎は 、既にいつも通りのポーカーフェイスで。手袋を嵌めた白い手をヒラヒラさせながら囁いた。
「これから、警察へ行こうと思うんだ」
「警察へ出頭するって…… ま、まさか、この連続殺人は、か、かっ、監督が……」
「いやいや、僕が犯人だなんて一言もいってないだろう」
激しく動揺した杏子に、思わず吹き出しそうになった統一郎であったが、すぐに真面目な顔になって続けた。
「そもそもこれは連続殺人とはちょっと違うんだ。その証拠になるものを見付けたから警察へ届けに行くつもりだよ」
統一郎の白い手からは、小さなカメラが覗いていた。
「これを仕掛けたのは おそらく真里絵なんだろう。彼女は、犯人はすぐに分かると豪語していたからね。もっとも本来の目的は盗撮映像を売って儲けるとかそんなところで、まさかこんな大事件が起きるなんて思ってなかっただろうけどな」
「連続殺人とは違うって、じゃあ一体誰が…… 真里絵さんは自殺したわけではないんでしょう?」
まるで訳がわからないと訴えてくる杏子に、統一郎はゆっくりと続ける。
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