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「大変だ! 真里絵が……」
息せき切って雄太が統一郎の部屋へ飛び込んで来たのは、それからいくらも経たないうちだった。
「一体どうしたっていうんだ」
雄太の ただならぬ様子に、流石の統一郎も困惑した顔を見せる。
「倒れたんだ。さ、さっき、ジュ、ジュー……」
「じゅう――何だって? とにかく、落ち着いて話せ」
「これが落ち着いていられるか! ジュースを口にした後、急に倒れたんだよっ!!」
「それで様子は?」
半ば怒鳴るような声にも、統一郎は冷静に返す。彼はいつだってそうなのだ。
「い、意識がないんだ。と、とりあえず救急車は呼んだ…… い、今は……杏子が側についてる」
「そうか。こうも立て続けとなると、警察にも連絡しておいたほうがいいな」
まだ呼吸が整っていない雄太を脇に、統一郎がスマホを取り出す。
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