12人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
プロローグ
別れてから思い返せば思い返すほど、彼ほど、
私を可愛がってくれた彼氏は居なかったと、
しみじみ感傷に浸らせてくれた男。
生まれつきのように自然に、身体を用いて
愛するのが上手だった。
彼の一番の美点は、湧き出た情熱に
野生とロマンを織り交ぜて、その表情の色々を
躊躇いなく、私に見せてくれたこと。
そして、時間をかけて惜しみなく、
復活しては疲れ果てるまで、情熱を与える作業に、
おざなりな態度を見せなかったことだ。
私は彼を親しみを込めてミックと呼んでいた。
危ない蜜を持っている男という、
意味合いをも含んでいる。
近頃になって、つくづく思い知らされる。
どうして私、ミックと離れてしまったんだろう?
てか手放した後になって、どうしてこうも
情事の思い出って、美しく輝くの?
最初のコメントを投稿しよう!