プロローグ

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プロローグ

別れてから思い返せば思い返すほど、彼ほど、 私を可愛がってくれた彼氏は居なかったと、 しみじみ感傷に浸らせてくれた(ひと)。 生まれつきのように自然に、身体を用いて 愛するのが上手だった。 彼の一番の美点は、湧き(いで)た情熱に 野生とロマンを織り交ぜて、その表情の色々を 躊躇いなく、私に見せてくれたこと。 そして、時間をかけて惜しみなく、 復活しては疲れ果てるまで、情熱を与える作業に、 おざなりな態度を見せなかったことだ。 私は彼を親しみを込めてミックと呼んでいた。 危ない(みつ)を持っている男という、 意味合いをも含んでいる。 近頃になって、つくづく思い知らされる。 どうして私、ミックと離れてしまったんだろう? てか手放した後になって、どうしてこうも 情事の思い出って、美しく輝くの?
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