絶望と裏切り

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 中学校卒業後は高校に通わせてもらえなくて、働くことを強いられた。叔父さんの死後、多額の保険金が降りたから家にお金はあるはずなのに、毎月10万円を納めるように命令され、毎日働きに出て空いた時間には家事を強要させる。  勤め先が指定されなかったのは不幸中の幸いだけど、家ではおばさんに怒鳴られ殴られて、姉妹にはとことんこき使われる。  こんな生活、まるでシンデレラみたい。なんて、現実逃避はするしこんな生活から逃げたいと思うけど、逃げるためのお金も頼るあてもないからどうしたらいいか分からない。  おばさんたちもそんなにわたしが嫌いならさっさと追い出せばいいのに、わたしが街から出ることだけは決して許さない。自殺する勇気もないからこうして18を迎える歳まで生き延びてしまっている。  崩れそうな心と体。それでもわたしが壊れないのは── 「……壱華(いちか)?」 「壱華ちゃんだ〜。どうしたの?」  この人たちの存在があるからなのかもしれない。
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