第2章 始まり

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とある夏の日、僕は空を見ていた。 その青空はどこまでも続いているかのように晴れ渡っていた。 僕は我を忘れて、その限りない青と白の世界を見続けた。 そして、辺りは騒がしい程に響き渡るセミの鳴き声と、風に揺れる風鈴と木々達が奏でる音が夏を彩っていた。 つい最近親の都合で都会からこの田舎町に引っ越してきた僕にとってその全てが新鮮で、僕の心は自然と落ち着いていった。 しかし、僕はまだこの新天地での生活には慣れていなかった。 僕自身人見知りで、学校では相手から話しかけてくれないとまともに話せない。 だから、自分から声に出して友達と言える存在はいない。 でもそれが原因で仲間外れにされたり、物理的ないじめに合ったりはしないから居心地は悪くない。 明るくて、それでいてのどかな雰囲気がある、いわば理想とも言える平和な空間だ。
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