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そして、今は高校最後の夏休み。
僕は友達を作る為に少しずつでも自分を変えていこうと思い、親に隠れて出掛ける準備をした。
黒一色の地味なTシャツに、穿き慣れた薄い青色のジーンズという、こだわりなんて無に等しいいつもの服装に身を包み、何も遊んでいない短髪の黒髪を整えながら足早に家を出た。
少しずつでも自分を変えつつ、同時にこの田舎町にも慣れていきたいというその理由を、恥ずかしさもあってか親には説明できなかった。
そして今、日が照りつける真夏の昼間と、田舎独特の清涼感漂う空気を体全体で感じていた時、ふと一際強い風が吹いた。
当然、周りの音もより鮮明に聞こえ出した。
それはまるで、夏の田舎に魅せられ立ち止まってしまっている僕を、その場から一歩でも進ませようと促しているかのようだった。
だから僕はその自然に従い、前を向いて再び歩き出した......
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