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玄関の戸を開けると、エプロン姿の妻、萌子が出迎えてくれた。
「お帰りなさい、あなた」
彼女はそう言いながら僕の鞄をごく自然な仕草で自分の手へと収めた。
「ただいま」
僕は萌子に向って笑顔でそう言い、靴を脱いで玄関を上がる。
出迎えてくれる人がいるというのも悪くはない。
「すぐご飯にしますか?」
「うーん……先にお風呂入っても良いかな?」
「ええ。沸いてます」
「ありがとう。さすがだね萌子」
「そんな……ありがとうございます」
対応が丁寧なのは嬉しいけれど、この丁寧語というのは何となく距離を感じる。
まあ、こんなものなのかもしれないが。
「お着替え持って行きますから」
「うん」
萌子に促された僕は、そのまま脱衣所を兼ねた洗面所へと入った。
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