帰宅

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 会社の最寄り駅から電車で三駅。  そこから徒歩十分以内のマンションの一室が帰るべき家だ。  僕は妻との約束通りスマートフォンで今から帰ると連絡を入れてから会社を出る。  駅に着くまでにお待ちしていますと返事が届いた。  家で待っててくれる人がいるというのは、何となくそれだけでテンションが上がってしまう。  駅を降りてからマンションまでには上り坂があるが、そこすら足取りは軽やかだ。  マンションの入り口でインターホンを鳴らす。 「はい」 「ただいま。僕だ」 「あ、お帰りなさい」  柔らかな声とともに、マンションの玄関のロックが解除される。  俺は開くようになった自動ドアを潜り抜け、エレベーターへと歩を進めた。  セキュリティのしっかりしたマンションなので、エレベーターもボタンを押す必要などない。  開いている箱に乗り込めば、そのまま目的階まで連れて行ってくれる。
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