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Birthday Surprise!
『ピピーッ!!』
ホイッスルの甲高い音が体育館に響き渡る。訓覇主将が大声を張り上げた。
「今日の練習はここまで! 週明けから二学期中間のテスト前週間に入る。中間後は文化祭の準備もあるからな! 各自しっかり勉強して備えるように! 冬休みは他校との練習試合も予定しているが、我々三年は文化祭を以て事実上引退となるから、新キャプテン・副キャプテン、それに二年を中心にやっていってもらうことになる。あまり過剰なプレッシャーを与えるつもりはないが、お前たちの活躍を、期待しているぞ!」
「(プレッシャー与えるつもりがないってめちゃくちゃ与えんじゃん)」
「(悪気はないんだろ。キャプテンはそういう人だ)」
「(純粋な叱咤激励ってやつじゃないかな?)」
訓覇主将の暑苦しい長話を聞きながら、うんざりとした表情で溜息混じりにそうこぼしたのはクラスメイト兼部活仲間の長濱亮平だ。亮平の隣で同じように話を聞いていた、これまたクラスメイト兼部活仲間の田原昭彦も、元々細い目をさらに弓なりに細めて呟く。
そんなふたりの横で、やっぱり同じように話を聞いていた俺──曇狼月冴はと言うと、訓覇主将が本来伝えたかったであろうニュアンスを汲んで、そう思われる言葉で彼の気持ちを代弁した。間違ってはいないと思う。
(そっか、もう中間の時期か。どの教科も言うほど進んでないし、半分は一学期の復習問題になるだろうな……数学は新しい公式を覚えて、英文法も少し見直すくらいでイケそうかも?)
いつものように大まかな試験対策の方針を頭の中で組み立てる。
毎日授業はちゃんと聞いているけれど、基本的な公式は一回解き方を見たり聞いてしまえば覚えられる。だから、ノートの取り方も凄く簡素で、要点だけしかメモしていなかったりするのだけど……。
(一学期にやった範囲では英文法の引っ掛けが多かったし……尚斗は見事に躓いてたから、一緒に復習して対策すれば、今度のテスト、尚斗も平均点より上狙えるだろうなぁ……)
苦手な教科のテキストを前に、しかめっ面する恋人の姿を想像して思わず顔を綻ばす。
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