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「次、美瑠」
「はい!」
あの子と踊った教室より広いレッスン場に、わたしは今日も立っている。
「今日こそ何か伝わるものがある踊りを見せてくれると期待しているわ」
ここに立つ子はみんなライバル。
でも、わたしはわたし。
バレエを好きなわたしも、嫌いなわたしも、全部含めて長谷川美瑠だから。
「よろしくお願いします!」
今日もわたしは踊る。
何度だって生まれ変わるわたしを見てほしい。
かけられた音楽に、ドキドキした。
レッスン場の端から踏み出す一歩は、舞台袖から出る一歩に似ている。
ワクワクのドキドキが、わたしの胸を満たす久しぶりの感覚がとても心地よかった。
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