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涼楓はあまり表情を変えない子だった。
褒められても、怒られても淡々としていてそれは踊りにも表れていた。
練習通りに本番をこなす。
これほど難しいものはないと今でも思っている。
でも、当時の涼楓は練習でできていたことは必ず本番でもやってのけた。
「私、あんまり緊張とかしないんだよね」
何度目かの発表会の時、涼楓は言った。
「美瑠は緊張しすぎ」
滅多に笑わない涼楓がおかしそうに笑ったのを、今でも覚えている。
いつも堂々としている涼楓。
できることはできる、できないことはできないときっぱり切り捨てられる涼楓。
そんな彼女が、やっぱり、羨ましかった。
わたしはいつも彼女の背中を追っていた。
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