完璧の裏側は

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今、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している、新進気鋭のベンチャー企業のCEO・甘峰夏樹。 その卓越した手腕で、瞬く間に顧客を拡大。今や、購買層が被っているうちの会社の事業の低迷に一役買っていると言われるまでになっている。 そんな奴が、突然、私に会見を申し込んできた。 面識も何もない商売敵の老舗企業のトップに、単身で会いにくるとは、どういうつもりだ。度胸が据わっているのか、それともただの狂人か。いずれにしろ、胡散臭すぎる。 そもそも、こんな短期間にのし上がって来た奴なんて、経験上、どう転んでもロクな人間ではない。能力はあるのだとしても、側近や社員、あるいは自分自身に何らかの無茶を強いているか、あるいは、相当あくどい商売をしているか――経験上、どちらかだろうということは想像に難くない。 ふん、何を考えているのか知らないが、わざわざ向う見ずに飛び込んでくるのだ。どんな人間か見定めてやろう。そして、その思いあがった鼻っ柱をへし折り、社会の厳しさというものを教えてやるとしよう――
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