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その実力のほどを知ると、我が国を頼りにしてきた独裁陣営の小国達もそっぽを向きはじめ、友好関係にあったC、I、Tの三国も次第に距離を取り始めた。
最早、ヤツの味方は無能なイエスマン達と、プロパガンダを鵜呑みにする無知な国民達しかいない。
私は最後の一押しにと、神経質なヤツの性格を利用して作戦に口出しさせる一方、軍の高官達に失敗の責任を取らせ、軍との信頼関係をも破壊してやった。
挙句、軍事の素人しかいないヤツと仲間達はとんでもない悪手を打ち、完全なる負け戦の末に、こうしてクーデターが起こるにまで至ったのである。
しかし、私の介在が多少なりとあったとはいえ、すべてはヤツ自身が招いたことだ。諜報機関あがりの割にはインテリジェンス能力に疎く、謀略で政敵を葬ることしか能のない不出来な小男が、分布相応な野望を抱いたが故の自然の帰結だ。
いや、自然の摂理による厳格な報いは、ヤツばかりかヤツが作り上げたこの国をも破滅の道へと突き進めた。
多くの働き手を失い、多額の戦争賠償金と経済制裁だけが残ったこの国の先行きは、なんとも暗いものになるであろう。
だが、愚かな国民達はプロパガンダを疑うこともせず、そんなヤツを支持し続けてきたのだ。そうした輩に同情してやる義理を私は持ち合わせていない。
ちなみにクーデターを起こし、次の独裁者候補となった者達の運命についても明るいものではないだろう。彼らもこの戦争に加担していたのは明白な事実。私は各国と密かに連絡をとり合い、彼らも戦争犯罪者として全員処分させる手筈を整えてある。
あとは内戦に突入するなり、小国に分かれるなり好きにするがいい……破壊なくして再生なし。腐りきったこの国には、一旦ぶっ壊さない限り未来は訪れないのだ。
さて、残るはこの私の身の振り方であるが、大統領補佐官の地位にいた以上、私もこのままこの国に留まることはできまい。祖国の行く末を見届けたい想いも少なからずあるが、復讐も果たしたことだし、あとは後進の愛国者達に任せることとしよう。
これまでの経験を踏まえ、民主主義陣営からは対独裁国家対策のオブザーバーとして雇いたいとの誘いが来ているので、とりあえずはそれに乗っかってみようと思う。
さあて、お次はおとなりのC国だ。すでに国内には、かつての私同様、密かに復讐の炎を燃やす反乱分子がそこここに潜伏している。
かの国の独裁者にも、あの大統領と同じ運命を辿ってもらおうではないか……。
(真の愛国者 了)
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