熱烈なる愛国者

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 それに反比例して、前線に大規模投入した新兵達はまったく役には立たず、戦死するどころか敵前逃亡する者までが相次ぎ、せっかく取った占領地は日に日に狭まってゆく一方だ。  また、どこから漏れ聞こえたのか? 極秘にしていた新兵の戦死が国内へも伝わると、政権への批判もまた再燃し始める。 「大統領! このままでは我が国が立ち行かなくなります! 国民の一斉放棄だって起こりかねません!」 「世界からも孤立し、兵器製造する材料も手に入らない有様……残念ながら、特別軍事作戦はすぐにでも終了すべきです!」  さすがにこうなると、政権内部からも大統領の決定に異を唱える者が現れ始める……私に言わせれば、なんとも忠誠心の足りない軟弱者達だ。 「大丈夫ですよ、大統領。そんな反国家的な思想を持った輩は、騒ぎを起こす前に率先して最前線へ送り出せばいい。弾除けとして使うのにはおあつらえ向きです」  そんな、要らぬことを吹き込もうとする不忠者達を、私は正面切って論破してゆく。 「それに孤立などしていませんよ。さすがに兵器供与まではしてくれませんが、以前C国とI国、T国の大国三つが我が国側にいます。今後、物資の供出が進めば、兵器を造る材料に困ることもなくなるでしょう……我が国の兵器が枯渇するなど、民主主義陣営の流したプロパガンダです!」  そして、不安な面持ちを浮かべる我が大統領を、またも楽天的な言葉で叱咤激励する。 「そのような弱気な発言をするとは……もしや、あなた達は敵方と内通しているのではありませんか?」 「なに! それは真か!? 衛兵! こやつらの身柄を拘束し、直ちに情報局へ連行しろ!」  さらにはその疑惑を大統領に伝え、諫言する者を周囲から遠ざけると自宅軟禁に処してもらった。これ以上、大統領の心を惑わされては何かとやりづらくて溜まらない。 「軍のやり方は生温い! より強力な挙国一致体制を構築し、いかなる手段を以てしても敵兵を殲滅すべきだ!」  一方、まったく逆の立場から、中途半端な政府の方針を批判する者達もいる……こうした輩は、優柔不断な大統領を支えるのに大変心強い味方だ。 「大統領、彼らこそ真の愛国者です! 軟弱者の非国民に代わり、彼らを政権運営に加えるべきです!」  そこで私は彼らを率先して推挙し、大統領の周りを過激な戦争支持者達で固めた。これでより大胆な作戦を断行することができるだろう。
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