緞帳を下ろしたのは

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『おい、なんだその忙しさに明け暮れた現代サラリーマンみたいな歩き方は!』 『お前は兵士としてこれから始まろうとする革命を命懸けで止めに行くんだぞ?』 『端役だからって手を抜くなんて、俺は許さないからな』  嬉しさに浮かれれば、朔からの容赦のないダメ出しが待っていた。視線の高さ、肘の角度、銃の構え方、全てに()()()()()理由を考えろと何度も言われた。俺はそれに必死に応え続けた。  だからこそ、初めて朔と同じ舞台に立てた感動は、言葉には言い表せない。  だけど、足りない。全然満たされない。もっと近くで、微かな息遣いも共有できるくらい近くでこの感動を味わいたい。  憎たらしい歌声でヒロインを虐げる悪役夫人を舞台袖から見つめながら、俺はそんなことを考えていた。  その後の努力の甲斐もあり、昨年は初めてソロ曲のある役を経験し、今回は奇跡的にもメインの役を勝ち取ることができた。  しかし俺たちの舞台である卒業公演は、あと2ヶ月もすればやってきてしまう。朔と恋人でいられる時間は、もうわずかしか残されていなかった。  
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