妖精と躍る

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 ディアドラの目がすっと細くなった。「だいたい予想はつく。そいつ、呪術学の停滞期(スランプ)に陥ったんだろう?」菫青石(アイオライト)の瞳が、その場面を見ているかのように小刻みに震えた。「そして、お前に相談を持ち掛けた」  ライグの手が汗ばんだ。  ――先生、相談が。あの……呪術学が進まなくて。見つけたのは「真っ直ぐ(ヴィラッハ)」一個だけ。薬草学の卒論締め切りもあって、どっちも中途半端になりそう。先生ならどうします? 「お前は止めるのもアリだと言った」  ――呪術学、いったん止めてみたら? 必修じゃないでしょう。 「いい助言だ。一度離れると、また始めたくなる。呪術に限ったことではないが」 「モーナ教授にも、そう言われました」 「じゃあ、なぜ気に病む……」呪術師の目がまた細くなる。「ついでに、そいつに余計な一言を言った」  ――なんなら、この鉱石学も止めたら。時間が足りないんでしょう? 「ムッとしたか、落胆か」  ――それが先生の答えですか。 「とにかく、怒って出ていった」  当たってます、という代わりに、ライグはかすかに口の端を上げた。本当のところ、彼女は怖いくらい明るく出ていったけれど。  ――それもそうですね! モーナ先生のところに行って、講義を休ませてもらうよう言ってきます。鉱石学の講義もお休みします。では!
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