9人が本棚に入れています
本棚に追加
ディアドラの目がすっと細くなった。「だいたい予想はつく。そいつ、呪術学の停滞期に陥ったんだろう?」菫青石の瞳が、その場面を見ているかのように小刻みに震えた。「そして、お前に相談を持ち掛けた」
ライグの手が汗ばんだ。
――先生、相談が。あの……呪術学が進まなくて。見つけたのは「真っ直ぐ」一個だけ。薬草学の卒論締め切りもあって、どっちも中途半端になりそう。先生ならどうします?
「お前は止めるのもアリだと言った」
――呪術学、いったん止めてみたら? 必修じゃないでしょう。
「いい助言だ。一度離れると、また始めたくなる。呪術に限ったことではないが」
「モーナ教授にも、そう言われました」
「じゃあ、なぜ気に病む……」呪術師の目がまた細くなる。「ついでに、そいつに余計な一言を言った」
――なんなら、この鉱石学も止めたら。時間が足りないんでしょう?
「ムッとしたか、落胆か」
――それが先生の答えですか。
「とにかく、怒って出ていった」
当たってます、という代わりに、ライグはかすかに口の端を上げた。本当のところ、彼女は怖いくらい明るく出ていったけれど。
――それもそうですね! モーナ先生のところに行って、講義を休ませてもらうよう言ってきます。鉱石学の講義もお休みします。では!
最初のコメントを投稿しよう!