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亮は美咲に小妹を狙った男たちを
殲滅した事を言えなかった。
「そう残念ね、父に言って付近を徹底的に調べさせるわ」
「お願いします」
亮は蓮華と桃華のが行方不明と美咲に言えなかった。
それは二人が爆死した事を信じたくなく
前もってキム・ユンヒの射殺命令を出していれば
こんなに犠牲を払う事もなかった。
そう思うと自分の優柔不断さに嫌気がさしていた。
亮が羽田空港ターミナルの外に出ると
和田が心配そうに待っていた。
「團さん、どうでした?」
「逃げられました・・・それより待っていてくれたんですか?」
「あはは、ただの好奇心です。送りましょうか?」
和田は亮の肩を叩いた。
「ありがとうございます、では彼女たちを
六本木のルーセントホテルへお願いします。
パーティは終わっているかもしれませんが、
ロビンとキャシーに連絡をしておきます。
彼らは世界的名優の和田さんと会えて喜ぶと思います」
亮が礼を言うと後ろに立っていたマギーと裕子も頭を下げた。
「團さんはどうするんですか?」
「僕は新宿に後始末に・・・」
「まだ、あるんですか?」
和田は亮の忙しさに驚いていた。
「あっ、あなたは雨宮裕子さん?」
梓沙は亮の後ろに立っている裕子の顔を見て声を上げると
裕子は微笑むだけだった。
「パパ、母の行っている銀座マテリアの
チーフの雨宮裕子さんよ」
「えっ、妻がいつもお世話になっています」
和田はなぜここにカリスマ美容師が居るか不思議だったが
裕子に丁寧にお辞儀をした。
「こちらこそ、奥様には良くしていただいて」
互いに挨拶を終えると亮はマギーからヘルメットを受け取った。
「マギー、美喜さん僕は裕子さんと一緒に新宿に向かう。
後は六本木ルーセントホテルに戻って後片付けを頼む」
「分かりました」
マギーは蓮華と桃華を心配している亮に気遣って
亮にハグをすると美喜も亮を抱きしめた。
「亮が運転していく?」
「良いですか?バイクの後ろは思ったより怖い」
亮はヘルメットをかぶってバイクに跨ると裕子が後ろに乗って
亮の腰に手を回した。
「裕子さん、行きます」
亮は手を上げて和田に挨拶をすると
アクセルを全開に回し前輪を上げウイリーで走って行った。
和田は美喜とマギーを乗せて六本木に向かった。
「みなさん、亮さんと仲がいいんですね。ハグをしあって」
梓沙は嫉妬心で美喜に嫌味を言った。
「はい、事情はそれぞれ違いますが、色々な困難から助けてくれた
亮は私たちの恩人なんです」
「そうでしょうね。みなさん彼を心から信頼しているように見えます」
和田は亮とハグをして幸せそうな顔をする美喜を見て感じていた。
「マギーさん、困難ってお金?」
「梓沙、馬鹿な事言うな!」
和田は失礼な事を聞いた梓沙を叱咤した。
「済みません、失礼な事を申し上げました」
和田は何の苦労をさせず育てた梓沙にはマギーたちのような
亮に対する信頼の気持ちはどんな事が有っても
湧かないだろうと思っていた。
「いいえ、亮は身寄りのいない私を亮のお父さんの
養女にしてもらって今は亮の戸籍上の妹なんです」
「本当!」
梓沙は驚いて振り返ってマギーの顔を見た。
「しかし、彼は役者でも成功するだろうな、
女性が好きになるオーラを発している」
「私もそう思う。共演してみたい」
梓沙は手を合わせ空を見上げた。
「和田さん、亮は控えめに言いますけど歌はプロ並み、
ダンスも上手いし5カ国語が話せるんです。
武術は・・・」
「5ヶ国語か・・・ますますハリウッドで映画に出るべきだ。
私がプロデューサーの所に連れて行く」
「でも亮はもう・・・」
マギーが亮の自身がすでにプロデュースの仕事をしていると
言おうとすると美喜はそれを止めた。
「ありがとうございます、きっと喜ぶと思います」
「うん、ところで團さんには
付き合っている女性は居るんですか?」
和田は本人に聞き憎い事を二人に聞き、
隣に座っていた梓沙の顔を見た。
「はい、付き合っているというか…何人か」
美喜亮のプライベートを明かしにくかった。
「えっ、何人かですか、人の事を言えませんね」
愛娘の梓沙と亮をつき合わさせようしていた
和田はショックだった。
「ええと、入籍はしていないようですが
複雑なので本人に聞いてください」
「なるほどねえ」
和田は美喜の答えに亮が良い男なので
女性にはめられたのだと思って
ニヤニヤと笑った。
~~~~~
消火作業中の有栖川公園に着いた小妹は
規制線の奥に蓮華と桃華の姿があるかどうか
心配になって覗いていた。
「小妹さんですか?」
小妹は始めて会う仁木に声を掛けられて首を傾げた。
「誰?」
「今度亮さんの元で働かせていただきます。仁木です」
「三雲です」
「ああ、美喜さんの幼馴染の方ね」
小妹は何故自分に敬語を使うか不思議だった。
「はい、我々が来た時は爆発の直後で蓮華さんと桃華さんは
どこにも居ず、消防が来るまで隈なく探したんですが
小針茂蔵の肉片すら見つかりませんでした」
「じゃあ・・・」
「はい、茂蔵は我々と同じ甲賀忍者の末裔、
火遁の術を使います。ひょっとしたら
何かの方法で姿を消したのかもしれません」
「分かりました」
二人は暗鬼の女、死は覚悟していたはず。
でも少しでも生きている可能性があれば私は必ず見つけ出す。
小妹は仁木の言葉に少し安心したが
それを表情にださず、蓮華と桃華の行方を調べる事だけを考えていた。
「はい、我々もできるだけ協力をします」
~~~~~
新宿に到着した亮と裕子はバイクを地下の駐車場に停めた。
「裕子さん、せっかくのパーティを台無しにしてしまって済みません」
「ううん、大丈夫。亮の役に立ててうれしいわ」
そう言って裕子はリュックからワンピースを取り出し亮に持たせ
バイクのシートを開けてハイヒール取り出し
ライディングスーツを脱ぐと
中にはベージュのブラとパンティの姿だった。
「裕子さん人に見られますよ」
「大丈夫よ、裸じゃないんだから」
ワンピースを着てハイヒールを履いた168cmの裕子は
亮の顔の高さまでになった。
「はい、準備OK。これからどうするの?」
「ちょっと歩きながら良いですか?」
亮は裕子にダイエットトレーニングセンターの話をした。
「面白い話ね」
「そうでしょう、早速お父さんにいただいた資料から
伊東と塩原の物件を買う事に決まったので
運営の方よろしくお願いします」
「えっ、どうして伊東と塩原なの?」
「両方とも硫黄成分が多いので美肌の湯とも言われています
どうせ浸かるなら綺麗になった方が良いからね。
それに衰退している鬼怒川ここは大型施設を
考えていて長期滞在型でスポーツジムはもちろん
プール、ボールング場、漫画図書館、劇場
を考えていて劇場ではアイドルの公演」
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