からっぽの私

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正直、父と顔を合わすのも気まずい。 母には実家に戻る事を電話で話したけど、父とはかれこれ3年ぶりに会った。 さっきの彼が言ったように、私は仕事の忙しさを理由にして実家に何年も帰らずロクに連絡もしなかった親不孝者だ。 「真琴」 名前を呼ばれてビク、と肩が跳ねる。 「は、はい」 どうしよう、何を言われるだろうか。 心臓がバクバクする。まともに父の顔を見る事が出来ない。 「おかえり」 「……」 父はそれだけ言うと店の中に戻ってしまった。 泣きそうだ。 バクバクしていた心臓が今度はジクジクしている。 「あら真琴!帰ってきたなら早く顔見せなさいよ」 「……お母さん」 父と入れ替わりで今度は母が出てきた。 父も母も変わらない様子でほっとした。 「あんたの部屋、布団は干しておいたからとりあえず寝なさい」 「え」 「気付いてないかもしれないけど、クマが凄くて明らかに寝不足な顔してる。とりあえず寝て先の事はゆっくり考えれば良いの」 「……うん」 お母さんはそっと私の背中を撫でた。 数年振りの実家は鼻の奥がツンとなるくらい、温かかった。
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