幼き日の夢

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のんちゃんはソファーに座って「隣来てよ浩司さん」と言ってくれた。 俺は少し感覚を空けてのんちゃんの横に座る。 のんちゃんはその隙間を埋めるかのようにくっついてきた。 久しぶりに人の温もりを感じる。 「浩司さんはなんか夢とかないの?」 「今は特に無いかな。昔は自分のラーメン屋を作りたいと思っていたかな」 「えっ、めっちゃいいじゃないですか! その夢叶えましょう? 」 のんちゃんは俺の顔を覗き込みながらそう言った。 さっき言った「今は特に無いかな」は嘘である。 今もなおラーメンを研究している俺は夢を諦めきれてはいない。 昨日も遅くまでラーメンを作っていた。 多分そのせいで今日遅刻したのだ。 「さっき浩司さん死のうかなって言ってましたよね? 」 「うーん、まあ」 「じゃあ、命をかけた人生最後の挑戦をしましょうよ! どうせ死ぬつもりだったんだから死ぬ気でやれますよね? 」 のんちゃんはニコニコ笑顔でサラッとえぐい発言をする。 でものんちゃんの言っていることは正しかった。 どうせ死ぬなら最後に死ぬ気で夢に向かって努力してからの方が良い。 失敗したって失うものは無いのだから思う存分やれる。
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