56人が本棚に入れています
本棚に追加
妹はまだ15歳。
俺たちとすごく年が離れてるから余計に溺愛してしまう。
母親曰く、弟の美月が生まれた時点でそれ以上は考えて無かったようだが、どうしても女の子が欲しかったそうで。
最後の神様頼みで無事雫が生まれたって感じらしい。
母親だけじゃない。
父親も俺たちも、美月からしたって初めての女の子だ。
かわいいに決まってる。
だから雫は家族全員から溺愛されている。
「ところでいち兄はどこ?借りてたゲーム返したいんだけど」
ようやく俺を引きはがしてゼーゼー言いながら、ふと雫が訊ねてきた。
いつも一緒に帰ってくるのに、俺だけしかいないのだ。
変に思うのも無理はない。
「い、一夏は…」
俺も動きがピタッと止まる。さっきの記憶が読み返ってくる。
しんとする。
「…にし兄?聞こえてる?」
動かなくなった俺の目の前で、「おーい」と手を振る。
「…………っ」
じわっと涙が滲んできた。
雫がぎょっとする。
「ちょ、なんで泣いてるの!?」
「しずくぅ…」
もう我慢できない…。
ボロボロ涙がこぼれてはソファに落ちていった。
「おれ、俺、フラれるかもしれない…っ」
「え?」
雫と弟は俺たちが付き合ってることを知ってる。
妹は驚いた顔をしたが…。
最初のコメントを投稿しよう!