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さっき起こった出来事を雫に話した。
あの女性、常連さんだ。
よくカウンターでカクテルを頼んでいて、一夏と笑って話しているのも何度か見たことある。
でも女性はともかく、一夏は営業トークだと思ってたのに…。
それで、歩いて行ったのはホテル街の方向。
バーがある場所が大人が集まる街だから、ラブホも結構近くにある。
だから間違いないだろう。
…思い出すだけで目の前が真っ暗になる。
「うわ、それはなんというか…」
聞き終わった雫はまじかぁーって顔をしていた。
「雫、どうしよう…。
一夏、なんかすごく冷たかったし、このまま離れてったら俺、俺…ッ」
涙が瞳からどんどんあふれる。
わっと泣いてまた雫に抱き着いた。
着ているパステルカラーのパジャマがふわふわですごく気持ちいい。
細い体にまわす腕に思わず力が入ってしまう。
「だ、大丈夫よ。いち兄そんなひどい人間じゃないのは、にし兄も私も知ってるでしょ」
今度はさっきと違って叩かずに背中を優しくぽんぽんしてくれた。
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