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「でも、でも一夏が何考えてるのか全然わかんない…っ。
今までなんでも分かったのに…ずっと一緒だったのにぃ…」
10歳も下の妹にどんどん気持ちを吐き出す。
何があってもずっと一緒だったのに、気持ちも通じ合っていたのにそれがわからなくて、不安でいっぱいで…。
「にし兄…」
泣きじゃくる兄の姿を、本気で心配してくれていた。
「…ねぇ、そういえばお兄達ってどうやって付き合ったの?」
「え?」
「ご、ごめん。ちょっと気になっちゃって…」
気持ちを軽くしようとしてくれたのか、雫が話題を振ってくれる。
俺たちがどうやって付き合ったか、そう言えば誰にも話したことなかったかも。
「え、えーっとね、あれは中学2年の夏……あれ?」
そこでふと思い出す。
そういえば、あの時もあった。
生まれてからずっと一緒だと思っていた子供の頃の2人。
だけど、一夏が俺と違う人間って自覚する出来事が、あの時もあった。
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