第3章 気持ち、溢れて

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 絶頂に追い立てられ、身体をびくびくと震わせるわたしを、彼が思い切り抱きしめる。  そして、ぐずぐずに蕩けたわたしのなかに彼が入ってきた。   「あぁ……」  彼が思わず声をあげ、わたしの首筋に歯を立てる。  身体の内側から熱せられたみたいに全身が熱い。  彼と自分の発する熱で焼き尽くされてしまいそうだった。 「郁美……」 「宗介……さん」    狂ったようにお互いを求め合い……    わたしたちは同時に昇りつめ、同時に果てた。  少し、気を失っていたのかもしれない。  気づいたときには、彼の腕にくるまれ、髪を優しく撫でられていた。 「思ったとおりだ」  彼がぼそっと呟く。 「宗介さん……」 「これほど身体も心もぴったりな相手ははじめてだ。俺たちは会うべくして会ったんだよ」 「わたしも……同じこと考えてました」    嘘ではない。  本当に同じことを思っていた。
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