第4章 極秘交際

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「いい? あなたをここまで育てるのに、どれほどの人が、どれだけ力を注いできたか、それを考えて頂戴。それからファンのこともね。あなたの仕事の重要な要素のひとつは『夢を売る』ことだから。ファンはあなたを仮想恋人と思っているから、テレビも映画も見てくれて、写真集を買ってくれてるのよ」   「わかってるって。まだ俺にはスキャンダルに耐えるほどの実力がないことも、百も承知だ」 「それがわかっているんなら、OK。橋本さんも肝に銘じておいてね。あなたの恋人はあなただけのものじゃないってことを」  名指しされ、わたしは思わず姿勢を正した。 「は、はい。わかりました」 *** 「きっついだろ? 向井。でも、マネージャーが彼女に変わってから、納得のいく仕事を回してもらえるようになったんだけどね」  向井さんが帰った後、宗介さんがわたしにそう話した。 「めちゃくちゃ、頭キレそうですもんね」
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