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まさか電話をもらえるなんて思っていなかったので、素直な言葉が口をついて飛びだした。
スマホの小さな画面を通してでも、彼が、わたしの今の言葉を喜んでくれているのが伝わってくる。
そして、ちょっと口をゆがめて笑い、言った。
「俺は頭から離れたことないけど、郁美のこと」
30歳目前の男女が何を言っているんだろう。
とても他人には聞かせられない。
バカップルもいいとこ。
でも、単純に嬉しい。
スピーカーを通して、ざわめきが聞こえてくる。
「今、どこ? 亮介さんと一緒?」
「ああ、亮介の友達の店で飲んでるところ。亮介はあっちで盛り上がってるよ」
「宗介さん」
「ん?」
「さっき別れたばっかりだけど、とっても会いたい」
「俺もだよ。声だけでも聞きたくてさ、電話したんだから。時間ができたらすぐ連絡するから」
「はい。待ってますね」
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