ネタバレ。

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「翌日、意を決してもう一度その掲示板を見ようとしたら……なんと、アドレスそのものがなくなってたんだって。ブクマから消えてるし、タイトルで検索しても出てこないし。掲示板って1000までは自由に書き込める形式で、Aさんが最後に見た時は200番代だったから落ちるには早すぎる。というか、過去ログにも見つからない。……あのアドレスのせいで、掲示板そのものが呪われてしまったのかもしれない……Aさんはそう思って震え上がったそうよ。おしまい」 「えー」  おしまい。  その言葉に、一斉にブーイングが出た。里帆の怪談にしては、あまりにも尻切れトンボだ。結局、アドレスを飛んだ先に何があったのかもわからないで終わっているではないか。 「ちょっとちょっとちょっと。結局“知ってはいけない言葉”がなんなのかサッパリわかんないじゃん!つまんないよ!」  思わず私がクレームを入れると、仕方ないでしょ、と里帆は口を尖らせる。 「だって実話怪談だもん。創作と違って必ずオチがつくってなもんじゃないんだから。あたしの友達の友達から聴いたやつだから、これ以上のことは何も知らないし」 「そんなぁ」 「まあ、一応あたしの推測をくっつけるとね?」  椅子にそっくり返って座り、里帆は笑った。 「言葉じゃなくて、画像や動画だった可能性もありそーだなーって。で、それを見てみーんなSAN値が消しとんじゃったんじゃないかと。いわゆるクトゥルフ神話の神格とか、SCPみたいにさー。だからAさんも見ちゃってたら廃人になってて、こんな怪談として人に語ることなんかできなかったんじゃないかなって」  確かに、それはありそうである。ただ、それはそれとして“オチがつかない”ことにもやもやしてしまうのも聞き手というものだ。私はぼそりと、わかってるけどさぁ、とボヤいた。  中途半端に情報を与えられたせいで、ますます気になってしまう。  実話怪談ということは、本当にそんな“見てはいけない画像(もしくは言葉)”みたいなものが実在しているかもしれないということだ。  しかも、それをアドレスとして掲示板に貼った人間がいる。何故、貼った人間は平気だったのだろう。見てはいけない言葉やら画像やら、を直視しても正気を保てる人間がいるのか。あるいは発狂した状態で貼り付けて回っていたのを見て被害に遭った者達がいたのか。 ――気になる気になる気になる。超気になる!  この直後、見回りの先生が来て雷が落ち、百物語(?)の回は強制終了となってしまったのだった。私の疑問はまったく解消されないままに。
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