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輪郭が歪んで見えるほどアスファルトは熱を帯びている。家までの道を並んで歩きながら成海は笑って告げる。
「やっぱ、パパさんモテるんですね」
「は? 何のことだ?」
浩太郎は唐突な言葉に眉根を寄せた。
ぎらぎらした陽光と、さっきの彼女たちの騒がしい会話。成海の言動。どれをとっても苛立ちを誘う。
「彼女たち何で俺に声かけてきたんだと思います? 俺がイケメンと知り合いだと見て、紹介してもらうチャンスだと思ったんですよ」
「そんなのずるいじゃないか。君をダシにするなんて」
あんな風に成海を悪し様に言って置いて、誰かを紹介してもらおうと利用するなんて。
浩太郎が彼女たちの様子を見ていたことなど、成海は知らないのだが。
「パパさんって、何か近づきがたい高尚なオーラが出てる感じだから、分かるような気がするんですよ」
「高尚?」
「眉間に皺寄ってますよ。三人も現役女子大生に囲まれてうれしくないんですか?」
「……所詮外見だろう?」
そもそもあの三人のうち一人は彼氏持ちだ。他の男にあんな媚びる目をしていていいのだろうか。
成海は不思議そうに浩太郎に目を向けてきた。
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