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大がかりな絶叫ジェットコースターなどはないが、子供の好きな遊具が揃った小規模な遊園地を行き先に選んだ。場外ステージで蒼太の好きな特撮キャラクターのショーがあるという情報も大きかった。
「師匠も一緒?」
「もちろん俺も行くよ」
成海はにっこりと蒼太に微笑みかけた。
「だから、今日は早く寝るんだよ。寝不足じゃ楽しめないからね」
蒼太は大きな瞳を輝かせて、音がするような勢いで頷いた。
「お風呂に入るー」
「おいおい。まだ一時だよ」
笑いながら成海が蒼太を追いかけていく。
それを見て浩太郎も不思議に幸せな気分になった。
気のせいではない。三人で出かけることにしたのは正解だったのだ。誰にとっても。
その後、蒼太は明日の分も宿題をすると言って部屋に上がっていった。
成海は洗濯物にアイロンをかけたり、冷蔵庫の中身チェックなど忙しく働いていた。
「……師匠。携帯鳴っているぞ」
テーブルの上に置きっぱなしになっていた黒いスマホが賑やかな音楽を奏でる。
成海はディスプレイをちらりと覗くと、そそくさと部屋を出て行った。
……まさか、あの女の子からじゃないんだろうな。合コン話とか?
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