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思わず出ていった方向に目を向けてみる。
成海は階段を上りながら、なにやら楽しげに会話している。
「え? 違うって。いくら金に困ってても俺にホストは無理っしょ。つーか、あの人もホストじゃないし……」
……もしかして。
浩太郎は何となく会話の内容が理解できた。
電話の相手は成海と浩太郎が一緒にいるところをどこかで目撃したのだろう。それで、彼がホストクラブにでもスカウトされていると思った……とか。
炎天下でホストのスカウトなんてするんだろうか。
炎天下……か。
さっき本屋で立ち聞きした会話をふと思い出した。
何か悪いことに首を突っ込んでいるんじゃないか、とふと気になった。
あの紙包み。あの中身に何かあるのだろうか。
何か人目に出せないような危険なものなんだろうか。麻薬とか。
身体を壊すと言っていたし。良くないものなのではないか。
そんなものに手を出しているのなら、早く止めるべきではないだろうか。
リビングに戻って新聞をチェックしながらも、どことなく気持ちが落ち着かなかった。
そこへ二階から降りてくる足音がした。
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