二度目の幸せ

　いざとなったらどう切り出せばいいのかわからない。
「いえいえ。天気の心配するのも蒼太くんのためでしょ？　俺も大事な人がらみだとあれこれ気を回して、溶けてバターになるんじゃないかってくらい一人でぐるぐる回ってますよ」
　大事な人。
　……自分にとって成海は、蒼太と同じく心配の対象になってしまっている。些細な不安で落ち着かない気分になってしまうほど。
　だから、上手く聞き出せないんだろうか。
　でも、言わなくてはならない。
「師匠。いきなりだが何か最近困っていることはないのか？」
　浩太郎は、散々悩んだあげく直球で切り出した。
　成海は意外そうに浩太郎を見た。
「……え？」
「だから、何か僕に隠していないか？」
　浩太郎はきっちり聞き出すつもりだったのに、相手があまりにのんびりした表情でこちらを見返すので、言葉が尻すぼみになってしまった。
「隠すって、ええと……納豆が苦手とか……？」
「そういうことじゃない。最近、何か僕に言えないことをしてるんじゃないか？」
　そう問いかけると成海はあからさまに目を反らした。
「そりゃ、人様に言えないことって誰にでもありますよ？」