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引きつったような呼吸音を漏らしながら成海は顔を上げた。目に涙まで浮かべている。
「だって笑っちゃいますよ。ちなみに、俺、何をやらかしてるんですか? 殺人? 強盗? わいせつ物陳列罪?」
「こっちは真面目に聞いてるんだ。大体……」
ふと、笑い転げた拍子か、ベッド脇に紙包みが転げ落ちた。枕元に隠してあったらしい。
それがそもそもの発端だ。
浩太郎がそれを拾い上げると、成海は慌ててそれを奪い取ろうと手を伸ばしてきた。
「それは……ダメですっ」
「ダメって? 何か危険なものなのか?」
そんなものを小さい子供のいる家にもちこまれては困る。そう言いかけて、成海が酷く狼狽えている様子に戸惑った。
「……一体何が入っているんだ? この間から様子がおかしいと思っていたんだ。それとも、僕には教えられないことなのか?」
「……困ったな」
成海は赤褐色の髪の中に手を突っ込んで、がしがしかき回す。
「……恥ずかしいんで、出来れば言いたくないんですけど……」
「恥ずかしい? アダルトビデオか?」
そのくらいのサイズではあるが……少し重い。成海は首を横に振る。
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